それはある日の午後のことでした。仕事から帰ってくると、まず玄関先にある郵便物をチェックするのですが、その中に青い細長い紙が入っていました。
「あー、またか・・・」
私も慣れたものです。それが何を意味するかすぐわかりました。
「断水」です。
この辺りは水道管が老朽化しているのかここ数年雨の多い日などに突然水道水が赤茶色に濁ったりすることが続いていました。そのたびに私は赤茶色のバスタブにどよーんとつかり(しかもうちのバスルームスイートの色はアボカドグリーンなので赤茶と緑がまざって見た目的にかなり悪い)、きれいにしてるのか汚してるのかわからないまま体をごしごしこすり、「一体ここはどこの国なのだっっっ」とバスルームにむなしい叫びを響かせる日々でした。
今までも何度となく水道工事は行われており、たびたび断水ということはあったので今回もそのひとつだろうと気楽にその紙を見てみると・・・。
なんと!!その青い紙には「断水時間水曜8:30〜木曜18:30まで」と太字で書かれていました。
さ、34時間・・・!?!?
当日の朝は、シャワーを真っ先に浴び、バスタブに水をため、ポットにもお湯をいっぱいわかし、浄水ポットには水をなみなみついで、朝ごはんで使ったお皿をほったらかしているボブ男に「洗わんかいーっっ!!」とパンチをお見舞いしてばたばたと仕事に向かいました。
職場でもうかつに動き回って汗などかくわけにはいきません。今日はお風呂だって入れないのです。体力温存に力をそそぎます。その日は半日あがりだったのですが、さっさと帰ったところで水はなし。街でしばらく時間をつぶし、帰り間際にトイレに行くことも忘れません。家に帰ってボブ男がジムから戻ってくるのをじっと待ちます。仕事帰りにまっすぐいつも通っているジムへ行きひとっ風呂浴びてくる予定です。普段はジムなど見向きもしない私ですが、このときばかりは「入会しときゃお風呂に入れたのに・・・」と後悔しました。
夕食は近くのパブへ。そして早めに寝ることにしました。
翌日は私の仕事はお休みだったので一日家です。外出することも考えましたが、やることがいろいろあったので、「どうせあと半日の辛抱だし」と家にいることにしました。18時半に断水解除ならまだバスタブにも半分以上水が残っているし、いざとなれば家の外に臨時給水タンクが設けてあるので余裕のはずです。家の中のことをしつつ、窓辺を通るたびに外の仕事状況をチェック。ところがのぞいてみるたび、作業員はお茶休憩だったりお昼だったり、作業員同士掘った穴の前で腕を組んでなにやら話し込んでいたり、ほとんど働いてる姿が見られません。いやーな予感です。
そして予感は見事的中しました。
18時半を過ぎてすぐ台所の蛇口をひねってみました。
チョロ・・・チョロロロロロ〜〜〜〜〜〜・・・。
今回の工事はパイプを変えて水圧の改善と聞いていたのですが、明らかに水圧が落ちてます。あれれ???と思いつつ今度はお湯を出そうとすると・・・
出ません・・・。
水圧が低すぎてお湯がでなくなっているじゃあありませんかっっ。わあああああああっっっ。うちだけかと思いましたがお隣もみんな同じでした。工事の作業員はとっくに帰ってしまっています。穴は開いたまま、工事の道具も置いたまま。作業が完了していないのは一目瞭然です。一体34時間を何に使っていたのか!?茶飲みかっ!?ボブ男がすぐ水道会社に電話をしました。電話に出たオペレーターは状況を聞くと、
「いやぁ、その工事、工事自体は別の会社に委託してるんでうちじゃないんですよ」
そういうことじゃないだろう、と思いつつとりあえずエンジニアに折り返し電話させます、ということで一旦電話は切られました。そしてまずこないだろうと思っていたエンジニアから電話が。が、彼はたまたまその日の緊急時要員として待機していた水道会社所属のエンジニアなので今回の工事のことなど端から把握などしていません。ボブ男が窓辺にたって工事現場の様子を伝える始末。そして結論は、
「あー、それまだ終わってないねぇ」
でした。だからそれで電話したんですってば・・・。
結局今日はもうどうしようもない、ということで明日まで待つことに。お風呂はまた延期になりました。ううう。
翌日、お湯はまだでないので顔を洗うのも食器を洗うのもすべてちょろちょろの水です。なんだか少年自然の家にいる気分。お昼前に一度「水圧はあと数時間程度で改善される予定です」という電話が入りました。ほっとするのもつかの間、その後今度は別の人からの電話で「水道管の破裂がありました。現在修復中です。もうしばらくお待ちください」・・・。
もう知らん・・・。週末はボブ男の実家に帰る予定が前々からあり、本当はすべて元に戻るのを確かめてから行こうと思っていたんですが、もうこれではいつお湯とめぐり合えるのか見当もつきません。それよりもなによりも風呂っ、風呂に入れてくれ〜〜〜〜っっっ。ということで我が家の水道状況はすべて忘れることにして夫婦2人風呂を求めて実家に避難、ということに相成りました。
その後隣人の話によると水道が元に戻ったのは夜の9時過ぎ。合計断水時間約60時間。実働時間おそらく6時間程度。嫌がらせか。