タップな話

タップといっても踊る方ではありません。
「tap」つまり蛇口のことです。
台所から洗面台、お風呂と家庭内の蛇口のある場はこの程度だと思いますが、我が家のタップはあなたの家のものとは確実に何かが違う!!と言い切れます。(イギリス在住の方を除く)
形とか水の出方とかハンドルだとか、デザイン方面よりもまず根本的に違う事。それは水とお湯の出る蛇口が我が家では別々だということです。
片方からは水しか出ず、片方からはお湯しかでない、という昔の銭湯なんかでよく見た蛇口です。
こう書くと、「へー、あっそ」程度の感想しか浮かばないとは思うんですが、私はこの場を借りて声を大にして日本に届く勢いで言わせていただきたい。

「不便なんだよ、バカヤローーーーーーーっっっ」

例えば朝。
顔を洗おうと洗面所へ行きます。
お湯の蛇口をひねる。
お湯がじわじわと温かくなるまでちょろちょろと触りながら待ちます。
適温のあたりで顔をぬらし、洗いはじめます。
で、さあゆすごうか、という段になる頃には蛇口から出てくるお湯はもう熱湯なわけです。
顔などのんきにゆすげる温度ではないんです。
で、どうするか。
まず水の蛇口をひねって、先に水を手のひらに溜めます。
次にお湯の蛇口の下にマッハの勢いで手をかざし、手のひらの中で適温にしてからおもむろに顔をすすぐ。
それもできないほど熱いお湯が出るときは、仕方がないので洗面台にためてすすぐということをします。
でもこの溜めすすぎ、イギリスの洗面所のタップは元々水の出る量が少ないので、忙しい朝このお湯が適温になるのを待ち、洗面台にふたをしてじょろじょろと地道にお湯がたまっていくのを前かがみでじーっと待っていると段々狂おしい気分になってきます。自分の限られた人生の一部の時間をこのじょろじょろとだらしなく出る洗面台の蛇口の前で前傾姿勢のまま無駄にしているのではないか、とさえ思えてきます。

台所にしてもしかり。
食器を洗うときは溜め洗いをすれば水の節約にもなるし、良しとしたとしても、すすぐ時は熱湯です。イギリス人はすすがないからいいけど。手袋なしではできません。ふきんをすすぐなど、ちょっとお湯があればという時でも蛇口から出るのは、冬場は手がちぎれるほどの冷たい水か、逆に全力投球で熱いお湯だったりするわけです。

この21世紀という世の中で、こんな不便なものがいまだにイギリスには存在するんです。イギリス人の手の皮だけが熱湯も感じないほど厚くできているとは思えません。事実、混合型の蛇口(ミックスタップ)だってあるんです。それなのにいまだにマジョリティーは別々の蛇口。
頑固なんだか何も考えてないんだか・・・
えーん、ドラえも〜〜〜〜ん。