日焼けはステータス

日本では、いわゆる「ガングロ」ブームも下火になり、七難を隠すといわれる「色白」信仰が復活を見せているようですが、こちら色白(がメイン)の国イギリスでは日焼け(Tan)信仰が長年続いています。
日焼けはステータスです。昔はこの太陽の恩恵をほとんど受けないイギリスで日焼けをしているということは、つまり日焼けのできる外国にホリデーに行く経済的余裕があるということの象徴でもあったわけです。
今ではパック旅行や格安航空券なんかで誰でも安価で外国に「ビーチホリデー」に行けるようになったので、「小麦色の肌=お金持ち」の図式は崩れつつありますが、それでもいまだにだれもが日焼けに対してひとかたならぬ願望を抱いています。
夏が近づくとファッション雑誌では美しく日焼けしたモデルが水着姿で登場し、「日焼けした女性・男性の方がセクシーだ」と読者は大いに賛同し、テレビのビューティーコーナーではどの偽日焼け(Fake Tan)クリームが一番きれいに見えてしかも長持ちするかと比較研究し、家のポストには近所の日焼けサロンのチラシが入れられるようになります。

彼らは白人と言われるだけあって、もともと人種的に(肌を小麦色に保つ)日焼けをするのが困難な人たちです。真っ赤になって終わりか、多少焼けてもすぐにもとに戻ってしまいます。
ではどうするか。
日焼けサロンに足繁く通ったり、太陽がちょっとでも出たら少しでも肌をさらす、といった地道な努力が王道でしょう。しかし、女性にはもう一つつよーい味方があるのです。

それはファンデーション。

ちょっと濃い目のファンデーションで日焼けしているように見せるのです。
ただこれには十分な注意が必要です。日本でもよく見る「首は浅黒いのに顔は真っ白」という“メイクアップ3大悲劇”(後の二つは不明)最悪パターンの逆バージョンに陥る可能性が非常に高いからです。
ところがこれが結構いるんです。首から下の肌を隠しているならばれないのに、思いっきり半袖から餅のように白い二の腕をのぞかせつつ妙な日焼け顔。しかもこういう人たちに限ってそのファンデーションの色をことごとく間違えていたりして、顔が小麦色というよりも「みかん食べ過ぎました」というような鮮やかなだいだい色だったりするのです。
健康的な小麦色の肌に少しでも見せたいという気持ちは痛いほどわかるのですが、どこからどうみてもだいだい色・・・。
日焼けに対する過剰な想いが彼女たちをだいだい色のファンデーションへと走らせるのでしょうか。

街に時たま出没するこの「だいだい星人」達を見ていると、「ああ、人間とは愚かな生き物よのぅ・・・」と思わず悟った気分にさせられます。