お泊まりの極意

イギリスでは友人などをよんで夕食会なんていうのが結構気軽に行われたりします。
「会」なんていうとかたくるしそうですが、単に「おいしいもの作るから食べに来てよ」くらいの感じなので、かしこまる事はありません。
とりあえず呼ばれた方のマナーとしては何か手土産を持っていくんですが、これも大抵はワインでじゅうぶん。
飲まない人には箱入りのチョコレートなんかを持っていきます。
後は友人と一緒においしい食事と楽しい会話で盛り上がればよいのですが、問題はこの後です。

もし「もうだいぶん遅いし、お酒も入ってるし、うちに泊まっていけば?」となったら!?
あるいは、はじめから一晩泊まるつもりの夕食会だったら!?

この場合日本人(特に女性)としてはある程度の覚悟、または下準備が必要になります。

実際「お泊まり」となった時に、まず始めにあなたを困惑の世界へといざなうイギリス人家庭の謎と言えば、

「ごみ箱なし、ティッシュなし、(場合によっては)洗顔料なし」

という3大ミステリー。
ごみ箱はキッチンや主寝室くらいにはおいているらしいのですが、それ以外の場所には大抵置いていません。となると、髪をとかした後のブラシについた髪の毛は!? 鼻をかんだ後のちり紙は!? ポケットに入っていた紙屑は・・・!? これらの行き場がないんです。いちいちその都度台所まで下りていくのも非常に面倒くさい。スーパーの袋などを小さくたたんで持っていきましょう。

ティッシュ。小さい子供のいるお家は別ですが、大抵ないです。あってもやっぱり寝室なんかにおいてるんですね。「ティッシュを・・・」と言うと「はいっ」と言ってキッチンペーパーを渡されたりします。
鼻炎持ちじゃない方でも、夕食が本格スパイシーカレーだった、という事もありえます。ポケットにティッシュを2、3枚入れておくことを忘れずに。いざとなったらトイレに行ったついでにトイレットペーパーを使いましょう。
イギリス人流にハンカチを使ってみるのもまた良し。

洗顔料。いわゆる日本の「メイクも落とせる洗顔料」なんていうのはないわけです。イギリスの女性のメイクの落とし方はまず普通の洗顔料や石鹸を使って大体を落として、その後クレンジング剤入りのローションで残りを拭き取る、という方法を取ります。なので、バスルームに置いてあるのは普通の手を洗う石鹸のみだったりします。
顔がカピカピになる覚悟で洗いましょう。
酔った勢いで洗えば気にもなりません。

そしてもう一つ、イギリス人家庭でのお泊まりで困惑するのは、

「部屋がなぜか寒い」

ことです。たまたまいつも寒い日に泊まってしまうのか、暖房が行き届いていないのか、温度設定が低いのか、何故かいつも肌寒く感じます。こんな時こそばばシャツ大活躍です。一枚多めに羽織りましょう。

以上、泊まる事が前もってわかっていれば「ゴミ袋、ティッシュ、洗顔料、ばばシャツ」の準備を、突然の場合は上記のことが起こりうることを覚悟の上でお泊まりをお楽しみください。