風邪をひいたら

イギリスでも冬になると風邪やインフルエンザ(こちらでは“Flu”と呼ぶ)が流行したりして、あちこちで咳き込む人や鼻をずるずるとかむ人を多く見かけるようになります。
ところが、ひいてるものは同じでも、それに対する対策、つまり治しかたが結構違ったりします。
いちばん驚くのが「熱が出たらお風呂に入る」です。日本であれば、おそらく「安静にしてお風呂はしばらく控えてください」なんてお医者さんに言われそうなものですが、こちらでは「熱が出た=お風呂」となるのです。
余談ですが、ブルースウィルス主演の「シックスセンス」の冒頭でも高熱にうなされる娘を冷たいお風呂に入れようとする母親のシーンがあったのを見ると、アメリカでも同じ方法をとるようですね。
そして食べる物。病人の食事といえば日本では「おじや」や「おかゆ」なんかが王道でしょうが、イギリスの場合は「スープ&トースト」です。
スープはわかるがなぜトースト???
喉が痛いときなんかは真っ先に食べたくないものに挙がりそうなものなのに、こちらではこのコンビネーションがベストオブ病人食なようです。

これを裏付ける究極の例として、私が初渡英した97年の年末の出来事があります。
私はその時人生初の40度以上の高熱を出して、寝室で本当にベッドに這い上がることもできなくなり床の上に倒れていました。それに気づいたホストのジョンが「少しでも食べなさい。机の上に置いておくから」と持ってきたもの。
それは缶入りチキンスープとコッペパンでした。
一人で立ち上がることもできない病人にこのメニュー・・・。朦朧とする意識の中で「食えるかーーーーーっっっ」と突っ込んだのは言うまでもありません。
この後、救出に来たボブ男は小さな寝室の床に死んだように転がっている私と、机の上のスープとパンを見て、
「毒でも盛られたのかと思った・・・」
と真顔で語っていました。もちろんそれからボブ男は「そんなことしたら死んでしまうぅぅぅ・・・」と必死の抵抗をする私を無視し、無理矢理お風呂の中に放り込んだのでした。
ま、こうして死ぬこともなく全快してるんですけどね。でもいまだに風邪をひくたび、なんだか納得いかないのです。